女風の匂わせ問題 | あの投稿私に向けて書いてる?

女風の匂わせ問題 | あの投稿私に向けて書いてる?

営業DMをもらったセラピストの投稿が、なんだか気になり始めた。

「今日も素敵な時間でした」のひと言を、誰に向けて書いてるんだろうと考えてしまう。

女風の匂わせ問題を知って、SNSを答え合わせに使っている自分に気づいた。

見なきゃいいのに指が止まらない、深夜の巡回記録。

目次

なんとなく、あの投稿が気になった

あの営業DMをもらってから、私のSNSの見方が変わってしまった。

きっかけは些細なことだった。寝る前にTLを流し見していたら、あのセラピストさんのポストが目に入った。

「今日も素敵な時間をありがとうございました」という短い一文と、カフェラテの写真。

それだけ。それだけなのに、指が止まった。

「素敵な時間」って、お客さんとの施術のことだよね。さっきまでどこかのホテルで、誰かと一緒にいたんだ。

なんでこんなことが気になるのか、自分でもわからない。まだ1回も会ったことのない人だ。あの営業DMにすらまだ返信していないのに。

でもその日から、気がつくと私はそのセラピストさんの投稿を遡っていた。

「今日はありがとう」の宛先が気になる

過去の投稿を読んでいくと、似たようなポストがいくつも見つかる。

「今日は久しぶりの方で、嬉しかった」「いい笑顔を見せてもらえて、こちらが元気をもらいました」「帰り際に手を振ってくれた。こういう瞬間がいちばん好きです」

どれも具体的な名前は出ていない。当たり前だ。でも、読んでいると「これは誰のことだろう」と考えてしまう自分がいる。

女風のSNSを見すぎている自覚はあった。でも匂わせ問題という言葉はまだ知らなかった。

「匂わせ」って聞くと、芸能人の恋愛スキャンダルを思い出す。彼氏の影をSNSでチラつかせるやつ。インスタのストーリーにさりげなく写り込む男の手、みたいな。

でもここでいう匂わせは、それとはちょっと違うらしいとあとから気づく。

夜中の2時。布団の中でスマホを横向きにして、そのセラピストさんの投稿を1ヶ月分くらい遡った。

いつのまにか麦茶を取りに起き上がっていた。喉が乾いていたのか、目が冴えてしまったのか、たぶんどっちもだった。

女風の匂わせ問題、ブランディングなのか本音なのか

「女風 匂わせ」で検索したのは、その翌日の昼休みだった。会社の休憩室で、周りに人がいないことを確認してから画面を開いた。

出てきた投稿の量に、もう驚かなくなっている自分がいる。

  • 水問題
  • 封筒問題
  • DM問題
  • 営業DM問題

毎回、検索した途端に大量の投稿が出てくる。知らなかったのは私だけだったんだ、という感覚にもだいぶ慣れた。

女風の匂わせ問題。

SNSで、セラピストがお客さんとの施術を匂わせるような投稿をすること。その投稿を見たユーザーが「これ私のことかな」「私じゃないほうの人のことだ」と深読みしてしまう現象。これがSNS上で定期的に話題になるらしい。

あるセラピストさんが「投稿はあくまでブランディングの一環。どのお客さんのことかは書いていないし、特定の人に向けたメッセージではない」と書いていた。

別のセラピストさんは「お客さんとの時間が嬉しかったから、純粋にその気持ちを投稿しただけ。深読みされることを想定していなかった」と。

一方でユーザー側の投稿には、「施術のあと、すぐにTLを確認してしまう。自分のことを書いてくれてるか探してしまう」という声がたくさんあった。

これ、完全に私だ。まだ利用すらしてないのに。

セラピスト側の事情もわかる、でもモヤモヤは消えない

セラピスト側の事情を読んでいくと、なるほどと思う部分もあった。

フリーで活動しているセラピストにとって、SNSの投稿はほぼ唯一の宣伝手段になっている場合がある。「今日も素敵な時間でした」系の投稿は、自分の仕事ぶりをフォロワーに見せるためのもの。

いい時間を提供できるセラピストであること、お客さんに感謝していること。それを発信すること自体は、ビジネスとして当然だと思う。

でもユーザー側からすると、その投稿がどうしても「特定の誰か」に向けた言葉に見えてしまう。

とくに、施術を受けた直後にセラピストの投稿を見たとき。「今日は笑顔が印象的な方でした」と書いてあったら、「これ私のこと?」と思わずにいられない。

逆に「少し緊張されていたけど、最後にはリラックスしてもらえたようでよかった」だったら、「緊張してたのバレてた…」と赤面する。

読みながら気づいた。私はまだこのサービスを使ったことがないのに、利用後の心理をシミュレーションしている。

お風呂にお湯を溜めながらスマホを眺めていた。画面に湯気がかかって、指紋認証が反応しなくなった。暗証番号を打ちながら、なにやってんだろう、と思った。

見なきゃいいのに、指が止まらない

問題はここからだった。

匂わせ問題を調べた日から、私のSNS巡回の仕方が変わった。TLを眺めるのではなく、特定のセラピストのプロフィールに直接飛ぶようになった。

新しい投稿がないかチェックする。投稿の時間帯を確認する。「いいね」の数を見る。リプ欄を開く。リプをしているアカウントのプロフィールを覗く。

そのリプ主が女性アカウントだと、ちょっとだけ胸がざわつく。

この人もこのセラピストさんのお客さんなのかな。どのくらいの頻度で通ってるんだろう。私より先にこの人の存在を知っていたのかな。

まだ1回も利用していないのに、他のお客さんの影が気になり始めている。

ある夜、セラピストさんが「今月は残り2枠です」というポストをしていた。

2枠。残り2枠。ということは、他の枠はもう埋まっているのだ。何人のお客さんが予約しているんだろう。みんなリピーターなのかな。

スクショを撮った。撮ってから、なんで撮ったのか自分でもわからなくなって消した。いや、消す前にもう一度見た。それから消した。

こんなことをしている自分が嫌だ。でもやめられない。

全然関係ないけど、最近職場で後輩の子が彼氏のインスタをチェックしすぎて疲れた、と言っていた。「見なきゃいいのにね」と笑いながら私も相槌を打った。

私のほうがよっぽどやばい。会ったこともない人のSNSを巡回している。しかも女性用風俗のセラピストの。

友達には、絶対に言えない。

「答え合わせ」をしている自分に気づいた

あるユーザーさんの投稿が刺さった。

「匂わせ問題の本質って、投稿の内容じゃないんだよね。自分がSNSを答え合わせの道具にしてしまってることが問題なんだと思う」

答え合わせ。

そうか、私がやっていたのは答え合わせだったのか。

セラピストの投稿を見て、「この言葉は誰に向けたものか」を探る。自分に向けられたものであってほしい。でもまだ会ったこともないから、自分宛のわけがない。

それでも投稿を読むたびに、どこかで自分との接点を探してしまう。

これって、すごく危ない状態なんじゃないか。

SNSで見かけた別の投稿。「匂わせに振り回されるのは、自分の中にセラピストとの関係性についての不安があるから。安心材料をSNSに求め始めたら、沼の入口だと思ったほうがいい」

沼の入口。

いや、もう入口どころか、腰くらいまで浸かってる気がする。

SNSを答え合わせに使い始めたら赤信号

深夜のTLをスクロールしていたら、ある長文投稿に目が留まった。セラピスト側のアカウントだった。

「投稿のたびにこれ誰のこと?ってDMが来ることがある。答えようがない。投稿は投稿。お客さんとの時間は、その場で完結するもの。SNSに答えを探しにくるのは、たぶんお互いにとって良くない」

この投稿のリプ欄を全部開いてしまった。

ユーザーさんからのリプ。「わかってるけど見ちゃう」「投稿しないでほしいとは言えないし、見ない自由は自分にしかない」「匂わせしてるつもりがないのに匂わせに見える投稿が一番タチ悪い(笑)」

笑ってるけど、笑えない。

セラピスト側には発信の自由がある。ユーザー側には見ない自由がある。でも「見ない」ができないから問題になっている。

これって、SNSというプラットフォームの構造的な問題でもある気がする。施術というクローズドな空間でのやりとりが、SNSというオープンな場所に「感想」として出てくる。その感想を見た別の人が、自分との関係性を推測する。

推測は、だいたい外れる。でも外れても、次の投稿でまた推測してしまう。

結局のところ、DMも投稿も全部営業だとしたら、本音はどこにあるんだろう。そんなことを考え始めると、もうキリがない。

スマホの画面を消した。真っ暗な画面に自分の顔がうっすら映った。目の下にクマができていた。

寝なきゃ。明日も仕事だ。

でもまた、布団の中でスマホに手が伸びる。通知はない。新しい投稿もない。それでもプロフィールを開いて、さっきと同じ投稿をもう一度読んでいる。

匂わせ問題の正体がわかった気がする。問題はセラピストの投稿にあるんじゃない。私の「見方」にある。

投稿をただの投稿として受け取れなくなっている。ぜんぶに意味を読み取ろうとしている。「この投稿は自分に向けたもの? 他の誰かに向けたもの?」と考えること自体が、もう沼にいる証拠だ。

匂わせ投稿を辿っていたら、他のお客さんの気配が見えてきた。リプ欄の常連っぽいアカウント、いいねの顔ぶれ。見たくなかったものが、見えてしまった。

でも今は、その話を書く気力がない。

SNSを見すぎている。わかってる。

見なきゃいいのに。でも「見ない」って、この業界では自分から情報を遮断するってことで、それはそれで怖い。もしあの人のアカウントが突然消えたら、なんて考えが一瞬よぎって、さらに眠れなくなった。

スマホを裏返して、枕の下に押し込んだ。

明日は見ない。明日こそは。

たぶん、また見る。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次