深夜のTLで「差し入れどうしてる?」という投稿を見つけた。
コーヒー1杯で喜ばれるという人もいれば、何も持っていかないほうがいいという人もいる。
生菓子は迷惑、手作りは恐怖、ケーキは被る。
まだ利用経験もほとんどないのに、女風の差し入れを真剣に調べている自分。
好意の伝え方にも正解がない世界で、また夜が更けていく。
深夜のTLに流れてきた「差し入れどうしてる?」の一言
夜中にXを開く癖がなかなか抜けない。
今夜もまた、布団の中でスマホの光に照らされながらTLをスクロールしていた。そしたら、あるユーザーさんの投稿が目に入って指が止まった。
「次の予約でセラピストさんに差し入れ持っていこうと思うんだけど、何がいいんだろう」
差し入れ。
えっ、女風って差し入れとかするの。そういう文化があるの。
封筒問題を調べたときも同じような衝撃を受けたけど、今回はもっと身近な感覚で戸惑った。
だってこれ、お金の渡し方みたいな作法の話じゃなくて、「気持ちをモノで伝える」という、もっと個人的な行為の話だから。
リプ欄を開いた。全部読んでしまった。
- 「GODIVAのチョコとか普通に喜ばれるよ」
- 「エナドリ持ってったら笑ってくれた」
- 「私はスタバカード渡してる」
- 「逆にセラピストさんによっては気を遣わせちゃうから何も持ってかない派」
意見がばらばらだった。しかもどの意見も、もっともらしい。
セラピスト側の投稿を読んで、余計にわからなくなった
リプ欄だけじゃ足りなくて、検索してしまった。
「女風 差し入れ」って。深夜にこんな検索してる自分にちょっと引きながら。
セラピスト側の投稿も出てきた。
というかなり率直なものまで。
あ、そうか。そうだよね。
考えてみれば当たり前だ。セラピストさんにとってはお仕事なんだから。
500円のチョコより、延長30分のほうが収入になる。
当然のことなのに、なぜかその投稿を読んだ瞬間、少しだけ胸がへこんだ。別に差し入れしたこともないのに。
もうひとつ、別のセラピストさんの投稿が刺さった。
「お気持ちはありがたいんですが、高価なものをいただくと距離感が変わってしまうこともあるので」みたいな内容。
距離感。
その言葉が、なんかずっと胸に残っている。
差し入れって、好意の表現だと思っていた。
ありがとうとか、お疲れさまとか、そういう気持ちを形にする行為。
でもそれを受け取る側にとっては、好意の重さを測られているような瞬間でもあるのかもしれない。
ふと関係ないことを思い出した。昔、職場の先輩に何気なくお菓子を渡したら「なんかあったの?」って聞かれたこと。
なんでもないですって言ったけど、あれ以来、職場で差し入れするのがちょっとだけ怖くなった。あのときの気まずさに似てる。
「喜ばれる差し入れ」のはずが、地雷だらけだった
検索を続けていたら、セラピスト側の本音がどんどん出てきて、だんだん目を覆いたくなった。
食べ物の差し入れについて書いている投稿が複数あった。まとめるとこういうことらしい。

生菓子は困る。施術の前後で食べるタイミングがないのに、ナマモノだからその場で食べなきゃいけない空気になる。断れないし、でもお腹いっぱいのときだってある。



ケーキを持ってくるユーザーさんが続くと、もう本当にきつい。前のお客さんにもケーキもらって、次のお客さんにもケーキもらって、1日に何個ケーキ食べればいいんだって話で。
体型管理してるセラピストさんもいるだろうに。そこまで考えが及ばないのか、というセラピストさんの投稿もあった。
そして、いちばん衝撃的だったのが「手作り」の話。
手作りのお菓子を持ってくるユーザーさんがいるらしい。
気持ちはわかる、わかるんだけど。セラピスト側の反応は、想像以上に厳しかった。
- 「手作りの食べ物は恐怖でしかない」
- 「衛生面が不安で口をつけられない」
- 「気持ち悪いとまでは言いたくないけど正直食べたくない」
読みながら、手が冷たくなった。
厳しい。厳しいけど、冷静に考えれば当然かもしれない。
相手はお客さんであって友達じゃない。見ず知らずの人が作ったものを食べるのは、普通に怖い。
でも、渡す側は善意100%のつもりなんだろうなって思うと、そのすれ違いがなんだか切ない。
「好意」が「負担」に変わる瞬間
あるセラピストさんの投稿で、こんな趣旨のものがあった。
「もらったものを残すわけにもいかないし、捨てるのも罪悪感がある。かといって毎回差し入れが来ると、受け取ること自体がプレッシャーになる」
お菓子ひとつでこれだけ気を遣わせてるのか、と思った。
気持ちを渡すつもりが、荷物を渡してた。言葉にするとそうなる。
持ち帰りが大変だという話も見かけた。セラピストさんって施術道具やら着替えやら持って移動する人が多いらしくて、そこにかさばる差し入れが加わると物理的に大変。
大きなぬいぐるみを渡されて途方に暮れたっていう投稿は、笑えるようで笑えなかった。
水問題のことを調べたときに感じたのと同じだ。相手を思っての行為が、相手の状況を知らないせいで空回りする。
「お水を持っていく」と「差し入れを持っていく」は違うのか
考え始めると、止まらなくなった。
水問題で議論されるペットボトルの水は、「施術中に喉が渇くかもしれない」という実用的な理由がある。お客さんの健康や体力を気遣う意味合いも。
差し入れは、もう少し違うところに着地する。
コーヒーやお菓子を渡すのは、実用性もあるけど、それだけじゃない。
「あなたのことを考えて選んできましたよ」というメッセージがどうしても乗ってしまう。そしてそのメッセージの濃度が、受け取る側の心理的な重さになる。
ユーザー側の心理を想像してみる
SNSの投稿をいくつか読んで、差し入れを持っていく人の気持ちが少しだけ見えた気がした。
- 「お世話になったから」
- 「前回すごくよかったから」
- 「感謝の気持ちを何かで伝えたくて」
うん、わかる。わかるんだよなぁ。
まだほとんど利用したことない私でも、もし次があるとしたら、手ぶらで行くのがなんとなく落ち着かないかもしれない。
日本人特有の「何か持っていかなきゃ」の感覚。実家に帰省するときに手土産を買う、あの感じと似てるのかもしれない。
でも、別の投稿も見かけた。「差し入れ持ってくユーザーさん、ガチ恋っぽくて引く」という、たぶんセラピスト側の知人らしきアカウントの投稿。
え。
そう見えることもあるの?
胸がぎゅっとした。まだ差し入れしたこともないのに、先回りして傷ついてる。変な話だけど。
好意の量を間違えたくない
要するに、差し入れって「好意の表現」なわけで。
で、好意の量を間違えると、気まずくなる。少なすぎたら意味がないし、多すぎたら引かれる。ちょうどいい距離感のちょうどいい差し入れって何なのか。
SNSで見かけた意見をざっくり整理すると、こんな感じだった。
渡すなら消えもの。コンビニのコーヒー、個包装のお菓子、栄養ドリンク。
かさばらなくて、日持ちして、相手に負担をかけないもの。
生菓子やケーキはタイミングが合わないと困らせるだけ。手作りは論外。
ブランド品やアクセサリーは重すぎる。手紙はもっと重い。
そして何人かのセラピストさんが口を揃えて言っていたのが、「差し入れをくれるならその分、長い時間のコースで予約してくれたほうが嬉しい」ということ。
すごく現実的で、すごく誠実な回答だと思った。
ある投稿で「差し入れは、渡した瞬間に忘れられるくらいのものがちょうどいい」と書いている人がいて、なんかすごく腑に落ちた。
でも同時に思った。忘れられるくらいの気持ちなら、最初から持っていかなくてよくない?
その矛盾をどう処理すればいいのか、まだわからない。
でも、渡す側の気持ちを否定したくはない
ここまで調べて、「差し入れなんてしないほうが無難」って結論にしたくなる自分がいる。
- リスクが多すぎる。
- 距離感を間違えるかもしれない。
- ガチ恋だと思われるかもしれない。
- セラピストさんに気を遣わせるかもしれない。
- 食べ物だったら迷惑かもしれない。
- 手作りなんてもってのほかだし。
- ケーキは被るかもしれないし。
なんか、調べれば調べるほど身動きが取れなくなっていく。いつものパターンだ。
でも。
コンビニで「これ、喜ぶかな」って迷いながらコーヒーを選ぶ時間って、たぶん悪い時間じゃない。
誰かのために何かを選ぶって、それ自体がちょっとだけ幸せなことだと思う。
営業DMにときめいた自分を恥じる話でも感じたけど、女風に関わる感情って、全部「恥ずかしい」に変換されがちだ。差し入れしたいと思うことすら、なんか恥ずかしい。好意を持ってることがバレるみたいで。
「正解」が人によって違いすぎる問題
結局、差し入れ問題もまた「正解がない」のだと思う。
水問題も封筒問題もそうだった。正解がないから毎回SNSで議論が起きる。正解がないから、初心者の私はいつまでもモヤモヤしてる。
あるユーザーさんの投稿がいちばん印象に残った。「差し入れが嬉しいかどうかは、何を持っていくかじゃなくて、ふたりの関係性で決まる」って。
たぶんそうなんだろう。でも、初心者にとっては、その「関係性」がまだ全然わからないから困ってるんだけどなぁ。
スマホの画面が暗くなった。時計を見たら2時を過ぎてた。
まだ2回目の予約すら入れてないのに、差し入れのことまで調べてる自分。なんだろう、これ。知らないまま行くのが怖くて、知りすぎて動けなくなってる。
結局、暗黙のルールが多すぎるのが全部の根っこにある気がする。差し入れも、お水も、封筒も、全部「こうしたほうがいいよ」と「いや、しなくていいよ」のあいだで揺れてる。
答えは出ないまま、スマホを裏返して目を閉じた。でも明日もまた、TLを開いてしまうんだろうなと思う。









