飲み会で言われた「彼氏作ればいいじゃん」が、帰り道もお風呂でも頭から消えない。
作れるなら作ってる。恋愛する気力がないのに人の温もりは欲しくて、この矛盾がずっと苦しい。
彼氏ができない自分を責める夜に書いた日記。
飲み会で言われた一言が、まだ胸に刺さってる
金曜の夜、会社の人たちと飲みに行った。
正確に言うと、断れなかった。最近あんまり来ないじゃんって言われて、たしかにここ1ヶ月くらいずっと理由つけて避けてたから、さすがにまずいかなと思って。
居酒屋の座敷で、7人くらいだったと思う。隣の先輩がハイボールを3杯目に入ったあたりで、話題が恋バナに変わった。
ああ、来たな、と思った。
「ミキはー? 最近どうなの、彼氏は」
名前を出されて、笑ってごまかす。いないですよ、もう全然。そう言えば場が収まると思った。
でも収まらなかった。
「えー、もったいないじゃん。ミキちゃん普通にかわいいのに」
「ね、彼氏作ればいいじゃん。アプリとかやってないの?」
彼氏作ればいいじゃん。
その一言が、枝豆を掴もうとした手を止めた。
「作ればいい」って、作れるなら作ってる
悪気がないのはわかってる。
先輩も同期も、たぶん本当に軽い気持ちで言ってる。会話の流れで出ただけ。明日には忘れてるようなひと言。
でも私には刺さる。ずっと刺さってる。
帰りの電車の中でも、お風呂に入ってるときも、布団に入ってからも、あの言葉が頭の中でリフレインしてた。
彼氏作ればいいじゃん。
作れるなら作ってるよ。
恋愛がしたくないわけじゃない。好きな人ができて、隣を歩いて、休日に一緒にいられたら、それは幸せだろうなと思う。でも「思う」と「できる」の間には、私にはとんでもなく深い溝がある。
仕事が終わって家に帰ると、もう何もする気力がない。
ソファに倒れ込んで、スマホをいじって、シャワーを浴びて寝る。それが精一杯の夜に、誰かとLINEを続ける元気なんてない。
マッチングアプリを入れたことはある。3日で消した。プロフィールを書く段階で、自分を良く見せなきゃいけないことに疲れてしまった。
相手に気を遣って、会話を盛り上げて、デートの日程を調整して。その全部が、今の私には重すぎる。
恋愛って体力がいる。心の体力。
それが今、底をついてる。
「寂しい」と「恋愛したい」は別の感情だった
布団の中で天井を見ながら、考えてた。
私が欲しいのは、彼氏なんだろうか。
あの夜、友達が彼氏とのLINE画面を見せてきた帰り道のことを思い出す。
あのとき感じた痛みは、「彼氏が欲しい」じゃなかった。「誰かとつながっている感覚」が欲しかった。
たぶん今もそう。
私が本当に求めてるのは、恋愛感情とか、ときめきとか、そういうことじゃない。
ただ、誰かの体温を感じたい。
手を握ってもらうとか、頭を撫でてもらうとか、背中をさすってもらうとか。そういう、言葉にするとびっくりするくらいシンプルなこと。
でもそれを「彼氏を作る」以外の方法で手に入れようとすると、途端におかしな話になる。
友達にハグしてとは言えない。マッサージは触れてもらえるけど、あれは肩こりを治す行為であって、私が欲しいのとは違う。
「寂しいから」って認めたくない、って書いたことがある。あのときからずっと同じところをぐるぐるしてる気がする。
「恋愛すれば解決するよ」の残酷さ
「彼氏作れば」って言葉が厄介なのは、正論に聞こえるところだと思う。
たしかに、恋人ができればスキンシップの問題は解決する。誰かがそばにいてくれれば、寂しさだって薄まるだろう。
でもそれは「お金があれば解決するよ」と同じくらい雑なアドバイスだ。
恋愛できない事情は人それぞれある。仕事が忙しすぎる人もいれば、過去の恋愛がトラウマになっている人もいる。自己肯定感が低くて、誰かに好かれる自信がない人も。
私の場合は、たぶん全部ちょっとずつ。
忙しいし、自信もないし、傷つくのも怖い。そのくせ身体は誰かの温もりを求めてる。
矛盾してるのはわかってる。わかってるけど、気持ちは矛盾するものだ。
飲み会の席で「彼氏作れば」って言った先輩に腹が立ってるわけじゃない。
ただ、その言葉を聞くたびに、自分がどこにも当てはまらない人間に思えて苦しくなる。
恋愛できる人は恋愛すればいい。でも私みたいに、そこに向かう気力がない人間はどうすればいいんだろう。
検索バーに打ち込んだのは、彼氏の作り方じゃなかった
飲み会から帰って、シャワーを浴びて、髪も乾かさないまま布団に入る。
スマホを開いた。
「彼氏 作り方」とは打たなかった。
代わりに打ったのは、「彼氏できない 寂しい 対処」。
検索結果はお決まりのものばかり。自分磨きをしよう。出会いの場に行こう。マッチングアプリを試そう。
全部試した。全部ダメだった。
画面をスクロールしていたら、ふと目に留まった記事があった。女性用風俗について書いている人のブログだった。
恋愛する余裕がない。でも人の体温が恋しい。そういう女性が使うサービスがあるらしい。
最初に読んだときは「そういう選択肢もあるのか」くらいの感覚だった。
でも今日、飲み会で「彼氏作れば」って言われた後に読むと、全然違う響きになる。
彼氏を作らなくても、人の温もりを得る方法がある。
それは逃げなのかな。
「逃げ」って思われるのが怖い
ここ数週間、女性用風俗のことをかなり調べている。口コミも読んだし、料金も見たし、コースの違いも把握した。
でも、踏み出せない理由のひとつが、これだ。
周りから見たら「恋愛から逃げてる」と思われるんじゃないか。
「彼氏作らないで、お金払って男の人に触ってもらうの?」
そう言われたら、何も言い返せない。
いや、言い返す必要なんてないのかもしれない。だって誰にも言うつもりないし。
でも自分の中にいるもう一人の自分が、ずっとそう言ってくる。
お金を払って人の温もりを得るなんて情けない。
彼氏を作る努力をしないで、そっちに逃げるの。
そんなことでしか寂しさを埋められないなんて。
全部、自分の声だ。
飲み会で先輩に言われた「彼氏作れば」より、自分の中の声のほうがずっとキツい。
今日は結論が出ない。
ただ、ひとつだけわかったのは、「彼氏作ればいいじゃん」がこんなに刺さるのは、自分でもそうできたらいいと思ってるからだ。できないから苦しい。できない自分が嫌になる。
でも、できないものはできない。
だったら、別の方法を探すことは、本当に「逃げ」なんだろうか。
わからない。でも、考えるのをやめられない。
スマホの画面を閉じて、枕に顔をうずめた。
明日は土曜日。誰とも会う予定がない。一日中パジャマのまま過ごして、きっとまた夜になったら同じことを考えるんだと思う。

