お風呂上がりにスマホを開いたら、タイムラインが少しだけざわついていた。
kaikan(カイカン)にDM機能がついたらしい。
2025年3月1日、昨日のことだ。
女風のポータルサイトにダイレクトメッセージ。
ユーザーとセラピストが、kaikanの中だけでやり取りできるようになったって。
ふうん、と思った。そのあと、なんとなくスマホを布団の上に伏せた。
そもそもkaikan(カイカン)って何なのか、という話

私がkaikanの存在を知ったのは、女風を調べ始めてわりとすぐの頃だった。
kaikan(カイカン)は、女性用風俗の情報をまとめたポータルサイトだ。
全国の女風店やセラピストの情報が掲載されていて、お店の紹介やセラピストのプロフィール、出勤情報、写メ日記、口コミなんかが見られる。
登録されている店舗は300以上、セラピストは5,000人を超えているらしい。
女風の世界では最大級の情報サイトということになる。
シティヘブンの女風版

男性向けの風俗でいうと「シティヘブンネット」というポータルサイトがあるのだけど、kaikanはその女性版みたいな立ち位置、と言えばわかりやすいかもしれない。
シティヘブンのことを知ったのは、たまたま調べものをしているときに検索で引っかかったからだ。
そこで「オキニトーク」というチャット機能の存在を知った。
ユーザーとキャストの女の子が、サイト内で直接メッセージをやり取りできる仕組み。
相互フォロー状態になったら使えて、LINEみたいな操作画面で、出勤の連絡とか予約の相談とかができるらしい。
つまり、男性向けの風俗サイトにはもうとっくにそういう機能があったということだ。
それを知ったとき、なんだか変な気持ちになった。
男性側はもう当たり前のようにサイト内でやり取りできてるのに、女性側はずっとXのDMに頼るしかなかった。
凍結されたらBlueskyに引っ越して、またアカウント作り直して、相互フォローして。
その手間を、誰もおかしいと思わなかったのかな。
いや、思ってたからこそ、今回のアップデートに繋がったのかもしれないけど。
こういうとき、なんていうんだろう。
女風という業界自体がまだ若くて、インフラが追いついていない感じがする。
利用する側の女性が「連絡手段がない」で立ち止まるのは、サービスの中身の問題じゃなくて、構造の問題だったんだなと思った。
話がそれた。kaikanの話に戻る。
Xが使えなくなる不安を、ずっと抱えてた

私が女風のことを調べ始めてから、一番困ったのは「連絡手段」だった。
気になるセラピストさんを見つけても、連絡するにはX(旧Twitter)のアカウントが必要で、しかも相互フォローしてないとDMが送れないケースが多くて。
Xのアカウントなんて持ってない。
正確には、昔使ってたけど鍵アカにして放置してある。
あれを女風の連絡用に使うなんて、怖すぎる。
検索履歴を消すだけでも手が震えるのに、SNSのアカウントでセラピストさんをフォローするなんて。
万が一おすすめに出てきたら、とか考えただけで胃がきゅっとなる。
女風セラピのX凍結問題

それに最近、セラピストさんのXアカウントが凍結されるケースが増えてるって話も見かけた。
せっかく勇気を出してフォローしたのに、ある日突然アカウントが消えてる。
Blueskyに移動しましたって言われても、またアカウントを作り直すの?
そのたびに足跡が増えていくのが嫌だった。
公式LINEを使ってるお店もあるけど、LINEって自分の名前が出るんだよね、設定によっては。個人のLINEを教えるなんて論外だし。
だから「連絡手段がない」というのは、私みたいな人間にとっては地味に大きな壁だった。
サービスの中身や料金より先に、「そもそもどうやって連絡するの」で止まってしまう。
kaikanの中だけで完結するという安心

今回のDM機能は、kaikanに無料で会員登録すれば使えるらしい。
Xのアカウントもいらないし、LINEを教える必要もない。
外部のSNSを経由しないから、履歴がどこかに残る心配も少ない。
シティヘブンの「オキニトーク」は相互フォローが条件だったけど、kaikanのDM機能はどうなんだろう。
今のところ分かっているのは、セラピスト側が「権限設定」でDMを使用可にしていないと、そもそもメッセージが送れない仕組みだということ。
デフォルトでは「使用不可」になっていて、セラピストさん自身が意図的にオンにする必要があるとのこと。
つまり、気になるセラピストさんのページを開いて、DMボタンがグレーアウトしていたら、今のところ連絡できない。
しばらくは「対応してるセラピストさんが少ない」という時期が続くんだろうなと思う。
始まったばかりの機能だから仕方ないけど。
でも、ちょっとだけ引っかかること

嬉しいニュースのはずなのに、私の中でなにかがざわついている。
たぶん、「また一歩、現実に近づいた」という感覚のせいだ。
連絡手段がなかったから、まだ調べてるだけだった。まだ行動してないと言い訳できた。でもDM機能ができたことで、「連絡しようと思えばできる」状態になってしまった。壁がひとつ減った。
公式サイトを開いて5秒で閉じてた頃は、あの「閉じる」という動作が自分を守ってくれていた気がする。
今は閉じなくてもよくなってしまった場所がまた一つ増えた。
それと、もうひとつ。
こういうプラットフォームにメッセージ機能がつくと、便利になる反面、セラピストさん側に余計な負担がかかるんじゃないかなって、ふと思った。
シティヘブンの「オキニトーク」が導入されたとき、キャストの女の子たちのあいだで
- 「おぢが無限に連絡してくる」
- 「DMは時間外労働じゃん」
という声が上がっていたらしい。
検索してたらそういう投稿がいくつも出てきた。
便利な機能がセラピスト側の負担になる。そういう構造は、男性向けでも女性向けでも変わらないのかもしれない。
kaikanのDMでも、誰でもメッセージを送れるということは、マナーの悪いメッセージも届く可能性があるってことだよね。
セラピストさんが「使用不可」のままにしておくのは、自衛の意味もあるのかもしれない。
登録の手順は簡単らしいけど

使い方を見た。kaikanで会員登録して、セラピストさんのページを開いて、DM対応していればメッセージを送る。返信を待つ。それだけ。
簡単。簡単なはずなのに。
会員登録するということは、メールアドレスを入れるということで、また何かひとつ、自分の痕跡がこの世界に増えるということで。
料金を調べたときも同じことを感じた。知れば知るほど、もう「知らなかった頃の自分」には戻れなくなる。
お風呂から上がってから、もう30分経っていた。
髪を乾かさなきゃいけないのに、スマホの画面をじっと見ている。kaikanのサイトをまた開いて、また閉じた。
カイカンDMの設定画面


セラピスト側の設定画面のスクリーンショットがタイムラインに流れてきていた。
- 「写メ日記」
- 「出勤情報」
- 「プロフィール」
- 「セラピ画像」
- 「性病検査」
- 「DM」
と機能が並んでいて、それぞれに「使用可」「使用不可」と書いてある。
DM通知の欄には「しない」と表示されていた。
なんだろう。その画面を見て、セラピストさんにもセラピストさんの都合や気持ちがあるんだなって、当たり前のことをあらためて思った。
私は自分のことばかり考えてた。
連絡できない、怖い、バレたくない。でも向こう側にも人がいて、どのメッセージを受け取るか、誰とやり取りするか、選ぶ権利がある。
そう考えたら、DMボタンがグレーアウトしていたとしても、それはそのセラピストさんの意思なんだから、尊重すべきことなんだよね。
ドライヤーの音の中で、なんとなくそんなことを考えていた。
便利になった。選択肢が増えた。でも、私はまだ何も選べていない。
明日も仕事だし、もう寝よう。
枕元にスマホを置いて、充電ケーブルを繋いだ。画面が暗くなる前に、検索履歴を消した。また同じことをしてる。
でも、今日はちょっとだけ違う気持ちもある。壁がひとつ減ったことは、たぶん、悪いことじゃない。
セラピストさんのプロフィールを読んでた夜のことを思い出した。
あのときも怖かったけど、読んでよかったと思えた。だから今回も、知ってよかったと思える日が来るのかもしれない。
来ないかもしれないけど。

