検索履歴を毎回消す自分が惨めすぎて、また泣いた

検索履歴を毎回消す自分が惨めすぎて、また泣いた

昨日の夜、出張ホストと女風の違いを調べて、スマホのメモ帳に比較表まで作った。

そのことは前に書いた。

今日書きたいのは、そのあとの話。比較表を閉じて、ブラウザの履歴を開いたときのことだ。

ずらっと並んでいた。

「女性用風俗 料金」「女風 セラピスト」「出張ホスト 違い」「女風 初めて 怖い」

全部、ここ数日の私の検索ワード。画面いっぱいに、私の本音が丸裸で並んでいる。

一つずつ、消した。

目次

ブラウザの履歴を消すのは、もう儀式になっている

最初に検索履歴を消したのがいつだったか、もう覚えていない。

たぶん、女性用風俗っていう言葉を初めてXで見た翌日くらいだと思う。

あの夜、検索窓に「女性用風俗」って打ち込んで、いくつかページを開いて、そのあと反射的に履歴を消した。

あれから毎晩、同じことをしている。

調べて、読んで、消す。調べて、読んで、消す。

布団のなかで画面の明るさを最低にして、シークレットモードを使うこともあるのに、それでもブラウザを閉じる前に履歴を確認しないと落ち着かない。

一人暮らしなのに。誰に見られるわけでもないのに。

消す瞬間、いつも同じ感覚がある。

ほっとする。そして、その直後に惨めになる。

ほっとしてるのは「証拠がなくなった」から。惨めなのは、「証拠を残せないようなことをしている」と自分で思っているから。

「削除しますか?」を押す指

一括削除のボタンを押すと、「閲覧データを削除しますか?」って聞かれる。

毎回「はい」を押す。

でもときどき、その確認画面で1秒くらい止まることがある。

この検索ワードの一つ一つが、私が夜中にひとりで考えていたことの記録なのだと思うと、消すのが惜しいような、変な気持ちになる。

誰にも見せられないけど、確かに私がそこにいた証拠。

それを自分の手で消しているのだと思うと、検索履歴ごと自分の感情まで削除しているみたいで、妙な喪失感がある。

消し終わったあとのまっさらな画面。何も残っていないブラウザ。

きれいだな、と思う。同時に、からっぽだな、とも思う。

予測変換が裏切る瞬間

ある日、仕事中にLINEを開いて同僚に返信しようとした。

「じょ」と打ったら、予測変換の候補に「女性用風俗」と出た。

一瞬、血の気が引いた。

誰も見ていない。自分のスマホの、自分しか見ない画面。

わかってる。でも身体のほうが先に反応して、スマホを机に伏せていた。

そのあと何食わぬ顔でスマホを戻して、「じょ」の予測変換を消す方法を検索した。

設定のキーボード辞書リセット。

手順通りにリセットして、もう一度「じょ」と打って「女性用風俗」が出ないことを確認した。

ここまでするか、と自分でも思った。

でも考えてみてほしい。もし友達とごはんを食べてるとき、ふざけて私のスマホで何か打とうとしたとき、「じょ」で「女性用風俗」が出たら。

想像しただけで、胃のあたりがきゅっとなる。

先週、ランチのときに同期が「ねえ見てこれ」って自分のスマホを差し出してきたことがあった。

推しのインスタの投稿を見せたかったらしい。

同期のスマホのブラウザが開いていて、タブがいくつか見えた。

レシピサイト、ネイルのクーポン、旅行のページ。

なんてことない、普通の検索履歴。

あれを見た瞬間、自分のスマホは絶対に誰にも渡せないと思った。

私のブラウザにあるのは、ネイルでも旅行でもない。

Safariのプライベートモードだけでは足りない

シークレットモードを使えば履歴は残らない。

そのことに気づいてからは、検索するときは必ずプライベートブラウズで開くようになった。

それでもブラウザを閉じたあとに履歴画面を開いて、何も残っていないことを確認する。

一人暮らしなのに。

この一文を何回書くんだろう、私は。

わかってる。わかってるのに確認せずにはいられない。

たまに、自分がスパイ映画の登場人物みたいだなと思うことがある。

証拠を隠滅して、痕跡を消して、何事もなかったように日常に戻る。

やっていることの規模が全然違うけど、あの「バレたらまずい」という感覚は、たぶん同じだ。

何がまずいのかと聞かれたら、うまく言えない。犯罪じゃない。

誰にも迷惑をかけていない。成人した女性が自分のスマホで何を検索しようが自由なはずだ。

でも「バレたら終わり」という感覚だけが、ずっとお腹の底にある。この恐怖は、きっとこの先もっと大きくなる気がする

予約とか、実際に行くとか、そういうことを考えたときに。

今はまだ「検索してるだけ」なのに、こんなに怖いのだから。

昼間の自分と、夜中の自分

会社では普通にしている。

朝、駅のホームでイヤホンをして音楽を聴きながら電車を待つ。

隣の人と肩がぶつかったら「すみません」って会釈する。普通の25歳の、普通の朝。

オフィスに着いたら「おはようございます」ってちゃんと声を出す。

デスクに座って、メールを開いて、報告資料を直して、お昼になったら同期とコンビニに行く。

この私のどこにも、「夜中に女性用風俗について調べている痕跡」はない。完璧に隠せている。

それなのに、ときどき自分の心臓がうるさくなる瞬間がある。

昼休みに同僚が「最近なんか検索してる?おすすめのドラマとかある?」って聞いてきたとき。

何気ない質問のはずなのに、「検索」って単語だけで心拍数が上がった。

「うーん、最近Netflixばっかりかなあ」って笑って答えた。嘘じゃない。Netflixも見てる。

ただ、そのあと布団の中でシークレットモードを開いていることを言っていないだけ。

こうやって嘘をつくたびに、昼間の自分と夜中の自分の距離が開いていく気がする。

昼間の私は普通の会社員。夜中の私は、誰にも言えないサービスを調べて、検索履歴を消して、布団を頭までかぶって寝る人。

同じ人間なのに、別人みたいだ。

ふと思ったこと

今日、お昼ご飯のあとに自販機でコーヒーを買っているとき、ふと頭に浮かんだことがある。

もしこのブログが誰かに読まれて、「私も同じです」って言ってくれる人がいたら。

それだけでこの怖さが少し変わるのかもしれない。変わらないかもしれない。

でも、今この瞬間に検索履歴を消しているのが私ひとりじゃないと思えたら、少しだけ息がしやすくなるような気がした。

缶コーヒーを一口飲んで、そのまま仕事に戻った。誰にも何も言わずに。

今夜もまた、同じことを繰り返す

お風呂に入って、髪を乾かして、布団に入る。スマホを手に取る。画面の明るさを落とす。

プライベートブラウズを開く。検索窓に文字を打つ。

体験談を読む。口コミを読む。料金のページをスクロールする。途中で怖くなって閉じる。また開く。

そして最後に、履歴を確認して、何もないことを確かめて、スマホを枕元に伏せる。

この繰り返しが、もう何日も続いている。

今夜、消し終わったあとの空白の画面を見ていたら、涙が出た。理由はよくわからない。

悲しいとか辛いとか、そういうはっきりした感情じゃなくて、もっとぼんやりした、名前のつかない何か。

こんなことしてるのは私だけなんじゃないかって思ったのかもしれない。

こんなことを何十日も続けている自分が、どうしようもなく惨めに思えたのかもしれない。

涙を拭いて、枕に顔を押し付けて、少しだけ声を出して泣いた。小さい声。壁の薄いアパートだから、隣の部屋に聞こえないように。

泣いたあと、また少し楽になるかと思ったけど、別にそうでもなかった。ただ目元が腫れて、明日のメイクが面倒だなと思っただけ。

いつかこの夜のことを振り返る日が来るのかな。それとも、ずっとこのままなのかな。

わからない。わからないけど、明日の朝もいつも通りコンシーラーを塗って、いつも通り出社する。

検索履歴はまっさらで、私の顔は普通で、夜中に泣いた痕跡はどこにもない。

そういう毎日を、たぶんまだしばらく続ける。

→次の日記は、体験談を読み漁った夜のこと

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